PTSD トピックス

  • 学会員 メンバーシップ応募
  • お問い合わせ

シンポジウム・イベント情報

大会情報

 

第15回日本トラウマティック・ストレス学会学術集会の御礼

平成28年6月
第15回日本トラウマティック・ストレス学会
大会長 松本和紀

 

平成28年5月20-21日、仙台国際センター展示棟におきまして第15回日本トラウマティック・ストレス学会を「みちのくで語らう、暮らしのなかのトラウマ~予防と回復に向けて~」をテーマに開催させていただきました。全国から585名の皆さまにご参加いただくことができ、心より感謝申し上げます。東日本大震災から5年を経過した節目の年に本大会を仙台で開催できたことを、とても意義深く感じます。

初日は、国際トラウマ学会ISTSSの会長Grete Dyb先生から、ノルウェー連続テロ事件によって引き起こされたトラウマの影響についてご講演をいただきました。被災者、犠牲者のほとんどが若者という悲劇的な事件が与えるインパクトと、被災者に対する組織的かつ継続的な支援と調査の成果からは多くを学ぶことができました。また、東北学を提唱なさった民俗学の赤坂憲雄先生からは、東北・災害・トラウマというタイトルでご講演をいただきました。詩の朗読を聞くかのように心に響く赤坂先生の語りそのものも印象的でした。基調講演では、富田博秋先生により、「東日本大震災から5年、こころの復興、こころの防災の現在と未来」についてご講演をいただきました。教育講演では、小西聖子先生から、日本におけるトラウマティック・ストレス領域の歩みについて、過去のさまざまな災害や事件・事故においてご活躍なさった先生方の活動の軌跡に沿ってお話いただきました。大野裕先生からは、町全体が壊滅的被害を受けた女川町において地域保健をベースに認知行動療法を活用した支援についてご講演を賜りました。ランチョンセミナーでは、加茂登志子先生から「不安を伴ううつ状態」の見立てと治療のストラテジーについてお話しいただきました。また、事例検討の企画では、犯罪被害者に対する精神的ケアとPE療法の実際について齋藤梓先生にご発表いただきました。その他にシンポジウム9セッションが行われ、心理支援方法、マインドフルネス、DVや性暴力、被害・加害の問題、災害後の精神保健活動や心理支援、原発災害における福島の現状、精神病におけるトラウマなどのテーマが取り上げられました。また、総会前には熊本地震緊急セッションが組まれました。

2日目は、特別企画として岩井圭司先生を進行役に、大山みち子先生、白澤英勝先生、黒澤美枝先生をお迎えし「トラウマの広がりと深さを考える」をテーマに鼎談が行われました。大会長講演では、東日本大震災を経た被災地での経験から社会とトラウマとの関連を踏まえた講演が行われました。教育講演では、笠原麻里先生から、子どものトラウマからの回復について、松本俊彦先生からは、トラウマとアディクションについて、それぞれ臨床的な経験に基づく味わい深いお話しをお伺いすることができました。ランチョンセミナーでは、古郡規雄先生から「うつ病治療を始める前に- 簡単な心理教育-」についてお話しいただきました。この日は、シンポジウムが13セッション行われ、トラウマに対する心理療法の共通因子、東日本大震災後のこころのケアや子どものトラウマ、災害後の支援者や労働者、子どものトラウマ支援、トラウマと物質乱用、喪失などがテーマとして取り上げられました。また、岩手県こころのケアセンター、みやぎ心のケアセンター、ふくしま心のケアセンターにより被災地活動団体支援企画が行われ、23の団体に出展いただきました。

本大会は、多くの関係者の皆様のお力添えによって実現することができました。学会執行部の皆様、プログラム委員の皆様、地元組織委員の皆様、プレコングレスでご講義いただいた皆様、シンポジウムをコーディネートいただいた皆様、共催セミナー広告・出店などにご協力いただいた企業の皆様、寄附をしていただいた皆様、被災地活動団体支援企画に携わっていただいた皆様、運営を担っていただいた株式会社日本旅行九州を始め、お手伝いいただいた全ての方に深く感謝申し上げます。

東日本大震災は、さまざまな爪痕を被災地に残しましたが、一方で、普段の生活のなかで隠されてしまいがちなトラウマの問題の重要性を我々に改めて気づかせてくれる機会も与えてくれました。本大会が、今後のトラウマティック・ストレス学および本学会の更なる発展に結びついていくことを期待いたします。