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第13回日本トラウマティック・ストレス学会学術集会の御礼

 平成266
13回日本トラウマティック・ストレス学会
大会長 矢部 博興

 3年前の2011311日に、東日本大震災に見舞われ、今もなお、放射能問題に関する様々な風評に傷つけられ続けている福島で、日本トラウマティックストレス学会を開催させて頂きましたことを、心より感謝申し上げます。
大都市以外での開催による参加者減を懸念しておりましたが、例年に匹敵する
461名もの皆さまにご参加いただきましたことを、心より感謝申し上げます。

 初日の517日(土)は、招待講演1として、ニューヨークのマウントサイナイ大学から柳澤ロバート教授(Prof. Robert T. Yanagisawa)、クレイグカッツ教授(Prof. Craig Katz)にお越し頂き、「災害と国際貢献」のテーマで聴衆を魅了する素晴らしいご講演を賜りました。
特に、柳澤教授は東日本大震災の直後の
5月に我々の元に訪れて、ご本人が副会長を務められている米国日本人医師会Japanese Medical Society of America (JMSA )としての支援を申し出てくださり、直ちに募金活動などを行い、福島のメンタルヘルスの新生の象徴である相双方部心のケアセンターの「なごみ」の設立に物心両面からご尽力くださいました。
この場を借りて、改めて心より感謝申し上げます。
招待講演2には、昨年
10月に福島医大に新たに設置された災害こころの医学講座の前田正治教授に、「福島におけるメンタルヘルスケア・ネットワーク」のテーマでご講演いただきました。
この御講演では、たまたまお越し頂いたウルリッヒ・シュニーダー教授(
Prof. Ulrich Schneider、元国際トラウマティックストレス学会会長)にも示唆に富むコメントを頂いて、パネルディスカッションのような自由で活発な有意義な討論の場となりました。
実際のパネルディスカッションも「震災
3年メンタルヘルスを総括して」というテーマで、前田先生をオーガナイザーとして、丹羽眞一先生、秋山剛先生、金吉晴先生をパネリストにお迎えして活発な討論が行われました。
初日のランチョンセミナーでは、奥山眞紀子先生に「公知申請の経緯と意義」、重村淳先生に「日本における
PTSD症例への薬物療法の実態:他施設間後方視研究結果を通じて」、中島聡美先生に「プライマリケア医のためのPTSD薬物療法ガイドライン・初期対応マニュアル」についてお話しいただき、大勢の参加者を得ました。

また、大会長講演として、本学会のテーマに密接に関連する「東日本大震災後の福島のメンタルヘルスのあり方」をお話しさせて頂きました。
震災や放射能事故に限らず、メンタルケアの根本は、事故の前の状態への回復ではなく、新たな心の在り方を獲得することにあると考え、この学会のテーマを「心のケアの未来:荒廃から新生への道標として」とさせて頂きました。
東日本大震災は、地震、津波、放射能汚染という三種の災厄を福島にもたらしました。中でも、放射能汚染の問題は、実際の物理的な汚染のレベルを超えて今もなお、福島全県民を不安と混沌の中に巻き込んでおります。
相双地域においては、震災直後に世界に前例のない精神医療の空白地帯が生じました。
その結果、新しいメンタルヘルス・アウトリーチの導入しか、地域精神医療の崩壊に対処する答えが無くなりました。
恐らく震災以前には最も導入が困難だった地域に、新しい精神医療が根を下ろしつつあるのです。
これも、本学会でシンポジウムとして取り上げさせていただき、多くの反響がありました。

2日目の518日(土)には、シンポジウムが16セッション行われました。
震災関連、レジリアンス、メディア関連、事故被害者関連など様々なテーマで行われ、各会場とも極めて活気にあふれておりました。
2日目にも3種のランチョンセミナーが行われました。丹羽眞一先生に「福島の復興・再生をめざして」、宮岡等先生に「うつ病診断の問題点」、内山真先生に「統合失調症の睡眠と睡眠障害」についてご講演いただき、それぞれ、とても多くの方々にご参加いただきました。

 今回の学会を開催する機会を得て、現在の福島や多くの被災地で最も希求されているメンタルヘルスケアの新生への道標を示すことが少しでもできたのではないかと感じております。
最後になりますが、多大なご助言を頂いた学会執行部の先生方、プログラム委員の先生方、プレコングレスで御講義頂いた理事の先生方、講師をご紹介いただいた先生方、共催セミナー・広告・出店などにご協力いただいた企業の皆様、運営を担っていただいた株式会社日本旅行九州を始め、お手伝いいただいた全ての方に深謝申し上げます。

 最後になりますが、本学会がますます発展されます事を心より祈念申し上げます。