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| ■総評: |
オーガナイザー 藤岡淳子(大阪大学大学院 人間科学研究科) |
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最終セッションという条件にも関わらず、多くの方に集まっていただき、この問題についての関心の高さを実感した。各シンポジストの話の内容等については、各人に記載していただいた。座長としては、十分に議論を尽くせた感がしなかったことが残念であるが、実践についての理解を得られたのではないかと評価している。
「スクールカウンセラーとして被虐待児をどのように支援できるか」
酒井佐枝子(大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻)
虐待を受けた子どもが示す反応はさまざまであるが、その中でも学校生活内での行動化によりスクールカウンセラー(以下SC)が介入を開始した小学校・中学校の2事例を紹介し、SCの果たした役割について検討を行った。初期介入では、対象児童・生徒の観察や関わりはもちろんのこと、校内で散乱する情報を統一し、校内でチームとして取り組むための体制作りを行うこと、必要に応じて児童相談所等の他機関と連携する役割を担った。また中・長期的には、対象生徒への継続的関わり、対象児童・生徒に日々関わる教員へのねぎらいやサポート、心理教育や今後の見通しについて提示し、常に話ができる関係を維持することに努めた。対象児童・生徒への心理的な関わりを中心とする立場から、ソーシャルワークの立場を取り入れた活動を展開したといえるが、他機関との連携を継続して持ち続けることの困難、SCとしての外的・内的枠の維持の困難が課題としてあげられた。
「虐待やいじめ被害を受けた発達障害をもつ非行少年に対する治療の方向性」
宮口幸治(大阪府立精神医療センター)
日常の診療場面や児童自立支援施設などで出会った発達障害をもつ少年たちの非行の背景に、いじめ被害や被虐待、不適切養育環境に晒されていたということが多々みられる。これらは周囲の人たちから発達障害に気づかれなかったり、誤解され理解されなかったりしたことが蓄積した結果生じた二次障害的なものであることも想定されている。 いじめ被害を受け性暴力非行を繰り返してきた高機能自閉症児に対して、再発予防のために児童自立支援施設と病院で施行している取り組みについて紹介したが、大きな見直しを迫られた。当該児の否認の問題を、発達障害児であることにとらわれ過ぎて“どうせできないだろう”、“できないから仕方がない”と治療者側で線引きしてしまった感が残った。座長の藤岡先生が“発達障害児も同じ”と言われたことを教訓に再度仕切り直す必要があると思われた。
「被害から加害へ〜性暴力治療教育プログラムを通してみるある少年の軌跡〜」
浅野恭子(大阪府立修徳学院)
大阪府では、平成17年度より、児童相談所と児童自立支援施設が協働して、性暴力治療教育プログラムを実施している。既に10名以上の児童を対象に、認知行動療法をベースにした個別プログラムを実施してきた。 その中で、DV、ネグレクト、身体的虐待を受け、学校では深刻ないじめにさらされ、施設で性被害にもあった、ある少年との面接経過を紹介した。彼が、被害者から加害者へと転じていくプロセスの中で、どのような感情に翻弄され、どのような思考の誤りに陥り、他者との間に厚い心理的障壁を築いてきたか、性暴力という深刻な加害行為をふりかえるなかで、少年自身がいかに自らの痛みを被害者の痛みに重ねて味わっていったかを紹介した。被害から加害に転じる経過、また加害を振り返ることで自らの傷つきに直面していく様子、再発防止に向けた取組みの中で、少年自身の被虐待体験をきちんと扱っていくことの大切さを感じていただけたのではないかと思う。 ただ、後のディスカッションの中では、性暴力への治療教育プログラムへの関心に基づく質問が中心で、被虐待体験を扱う上での困難さや工夫等について議論が十分できなかったのが残念であった。
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