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PTSDシンポジウム2002
報告から
『人為災害とトラウマ』 座長:
大阪大学大学院 広常秀人 |
| 【演 題】 |
| ・ |
『えひめ丸沈没事故生還生徒に関するメンタルヘルスケア』
前田正治(久留米大学医学部精神神経科)他 |
| ・ |
『交通事故の精神的後遺症』
藤田悟郎(警察庁科学警察研究所) |
| ・ |
『多数の犯罪被害者に対する精神保健サービスの提供方法について』
藤林武史(佐賀県精神保健福祉センター) |
| ・ |
『ギリシャ・バスジャック事件における危機介入』
神山昭男(在フランス日本国大使館) |
| 【指定発言】 |
| ・ |
川名典子(聖路加国際病院) |
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| ■ |
総評:
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大阪大学大学院 広常秀人 |
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このシンポジウムでは犯罪を含めた人為災害に関する4題が報告された。各演者ともに言うまでもなく、事件・事故の被害者、当事者に深く関わって来られた専門家ならではの被害者の精神的反応や、介入や連携についての方法論、今後の課題について鋭い考察を交えての報告であった。また地下鉄サリン事件という集団災害のみならず日々トラウマティックなイベントに遭遇した患者にリエゾン精神看護師として細やかな介入を続けておられる川名典子氏(聖路加国際病院)による、各演題の事件が有するナイーブさに対して細心の配慮がなされつつも問題の核心に鋭く触れられた質問やコメントが加わることによって、シンポジウムとしての議論にさらに大きな深まりが得られた。川名氏とシンポジストとの質疑応答に触発され、人為災害後における精神保健対応の根源に関わる問題についてフロアからの活発な質疑があい続いたにもかかわらず、進行の不手際のため時間を十分に割くことができなかった。来年度以降の本学会でより詳細に議論がなされていくことが期待される。
4演題の報告と議論によって様々な特性を持った人為災害について比較検討がなされたことが意義深いものであったのは論を待たないが、
- 早期の介入と評価の重要性、
- 各関連機関との連携や役割分担の重要性、
- 各フェーズによって異なってくるニーズへのきめ細やかな対応の必要性、
- 個々人のニーズに応じる個別性の重要性、
- 中長期への対応に対する事前の課題設定の重要性、
- 罪責感が回復への大きな障害物になりうること、
などが異種の災害においても共通する課題としてあげられたこともまた重要な点ではなかっただろうか。
さらに、今後当学会に与えられる課題が以下のように具体的に明確になったことも本シンポジウムの大きな収穫であったと思われた。
- 事故や事件後の精神保健対応の重要性が啓発されていく必要性という観点からすると、この学会が発信していくべき内容は公開性を求められる一方、被害者・被災者のプライバシー保護の観点からは発表内容に制限が生じる。それは当然ではあるものの、各事例への対応によって得られた個別の経験を専門家集団として、今後のよりよい対応に向けて(例えば本学会がマニュアルを作成していくなど)情報や知識を共有していくための学会のあり方についてさらなる検討が求められよう。
- 人為災害は、交通事故のように非常に個人的なレベルからマスメディアの注目を浴びるような大事件まで、あらゆる質と規模のものが起こりうるが、それぞれ異なった特質を持つ災害や事件に対し迅速かつ適切な対応法について本学会を通して探っていくことが求められるだろう。
- トラウマ後の回復過程に社会的サポートの重要性は既によく知られているところであるが、被害者・被災者と日常接する一般の人々にとっての具体的なよりよいサポートとはどのようなものなのか、さらにはトラウマを理解する社会の文化土壌を育くんでいくためには何ができるのか。
- 災害によっては、加害側と被害側が明確に区別できるものではないことがある。ときに一人の心の中に両者が混在することもあるだろう。この外的、内的現実の複雑さを我々がどのように知り生かていくことができるのか。
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