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JSTSS
第2回大会(2003.3) での講演から
『今わかったことをあの時知っていたら
―September 11から学んだこと』
Randall Marshall, M.D.(ニューヨーク州精神医学研究所)
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September 11がもたらした心理的影響については、歴史上のどのテロ攻撃よりも詳しく記録されている。攻撃後の最初の7日間に、全米で成人のおよそ44%がトラウマ後の症状を少なくとも一つは体験した。人々は家族、社会ネットワーク、愛他的行動を頼りとした。そして個人の安全や国家安全保障に対していだいていたそれまでの考えとは、到底一致するものではなかった出来事の意味と、それがもたらすものを理解しようとして対話を続けた。
攻撃後2ヶ月の時点で、およそ10人に1人のニューヨーク市民が、September 11に関連した外傷後ストレス障害(PTSD)の診断基準を完全に満たしていた。その数はおよそ100万人に相当する。PTSDと大うつ病の発症リスクの予測因子として認められたのは、ヒスパニック系人種、それ以前からのストレッサー、出来事の間のパニック、マンハッタン南側の居住、攻撃による資産喪失、より若年者、および女性であった。タバコやアルコール、マリファナの使用はおよそ30%増加していたが、この増加は主には、以前からの物質使用者とPTSDと大うつ病罹患者で認められた。
最初の全米調査によれば、攻撃の4-8週間後の評価においてSeptember 11に関連したPTSDの有病率は、驚くことに全米で2.7-4.3%にものぼっていた。この数値は、評価時点における他のあらゆるタイプのトラウマに起因したPTSDを合計した有病率を上回るものであったことも衝撃的であった。
メディアの果たした役割の重要性は、ここまでのところすべての調査で報告されているが、この点は以前にはさほど認識されなかったものである。September
11後1週間の合計テレビ視聴時間は、不安およびPTSD症状と高い相関を示したことは、これまでのすべての調査が報告している。これについてはいくつかの解釈が考えられる。視聴者の中にはメディア報道に曝されたことが原因で症状が発現したものがいたかもしれない。また別の視聴者には、攻撃を直接目撃したことが原因で症状が発現したが、その後に現実離れし脈絡のつかなかったその体験をしっかり捉え直そうとしてメディア報道を追ったものがいたかもしれない。
コロンビア大学と連携するニューヨーク州精神医学研究所において、われわれが重点を置いたのはトラウマを基礎とする治療技法のコミュニティ・トレーニングである。ニューヨーク州の公衆衛生計画において精神保健は重要な要素として取り上げられた。なぜならばテロリストの行為の主目的は、一般の人々に意気消沈と恐怖そして不確実感を生じさせることだからである。近年開発されたトラウマに焦点を当てた治療技法は、地域にはそれほど広く普及していないことがすぐ明らかとなった。
民間組織との提携により、集中的なトレーニング・プログラムが開発され2年目を迎えている。これまでに数百人の臨床家がトレーングを受けた。われわれのデータが示していることは、これら多くの経験を積んだ臨床家たちが、妥当性を実証されたトラウマ治療をコミュニティ内で実践する際に、いくつもの障壁を感じていることである。われわれのトレーニングは、トラウマ治療において重要ないくつかの要素に焦点を置いている。その要素には、(1)曝露療法のようにマニュアル化された治療の使用、(2)トラウマ関連の回避を探索する過程における相対危険評定(relative
risk appraisal)の概念、(3)現在も続く脅威に適応することによる日常生活上の変化、(4)傷ついたコミュニティの成員であるとともに治療者としても働くことの難しさ、などである。これまであきらかとなったことは、われわれの臨床活動には、正常な適応モデルや個人の安全に関するスキーマ、さらには実存的前提さえも包んだアプローチが必要とされたことであった。(第2回大会での招待講演から)
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