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総評: 元村直靖
(大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター)
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学校が、災害、事故および犯罪などに巻き込まれることがある。たとえば、阪神淡路大震災や新潟中越地震、外部からの侵入者による児童殺傷事件、登下校中の誘拐事件などである。海外でも、ニューヨークのテロ事件、ロシアベスランでの人質事件や、ごく最近では、スマトラ沖の地震による津波被害があった。このような犯罪や災害は、学校を危機に陥れる。今回のシンポジウムでは、このような学校危機の際にどのような危機対応や子どもたちのケアが必要であり、学校においてどのような支援が可能かについて、議論を深めた。
まず、山口県精神保健福祉センターの廣岡らは、昨年にひき続き、山口県における「クライシス・レスポンス・チーム(CRT)」の活動を報告した。前回、山口県クライシスレスポンスチームの設立準備から第2回出動までの経緯を報告した。CRTの支援内容は、(1)教職員のサポート、(2)ケアプランの策定、(3)被害者評価と被害者への応急対応、(4)被害者と家族への心理教育、(5)マスコミ対策など5項目であり、今回は、その後出動した第3回から第6回までの支援内容について報告した。さらに、課題の一つであった「中期ケア」のための方法として、平成16年8月から、クライシス・サポート・チーム(CST)がスタートした。これは山口県臨床心理士会が、CRT後の中期支援として、臨床心理士2名を派遣するものである。
次に、立正大学の小澤は海外日本人学校での心のケア活動について報告した。1999年9月におきた台湾地震での台中日本人学校や2001年9月の米国同時多発テロ事件におけるN.Y.地区の日本人学校、幼稚園、私立学校を対象としたこころのケア活動、さらに2004年1月韓国ソウル日本人学校事件における心のケアの実際について報告し、これらを踏まえて、心のケア活動では、(1)ストレスマネジメント教育やリラクセーション指導を行い(2)子どもたちがセルフケアができること(3)保護者や教員が安心できる環境を整え積極的にストレス低減すること(4)専門家のケア体制を整えること(5)コラボレーションにより総合的なケア体制を構築することの重要性を強調した。
3番目に、兵庫県SCスーパーバイザーの高橋は、阪神大震災や新潟中越地震および台風23号被害への危機対応の経験から、学校における危機対応の留意点について報告した。まず、学校危機対応の基本は、危機管理と心のケアであるとし、心のケアには、危機に対する心理教育、スクリーニングおよびストレスマネージメントが含まれなければならない。児童生徒への心のケアの目的は心理的状態の悪くなっている児童や教職員にたいする治療的関わりとともに被害者全体へのストレス低減が必要である。さらに、危機に際しては、体験そのものによるストレス、喪失体験および体験後の生活変化に伴うストレスの3種類のストレスをうけるが、それぞれ対処の仕方が異なることに留意することが肝要である。
最後に、久留米大学医学部精神神経科の丸岡らは某小学校プール死亡事故に関するトラウマケアについて報告した。X-1年、某小学校でのプール開き当日、当時5年生の男児児童が、同級生ほぼ全員と父兄の目前で水泳中に亡くなった。男児児童が死亡したことに対する他児童の心的外傷の影響を調査し、その後のケアを探索していった。現6年生(当時5年生)全児童と、目撃していない対照群として現5年生全児童を対象とし、事故10ヶ月後と15ヶ月後にIES―Rを行い、本事故の衝撃度及び改善の程度を調査した。さらには、事故10ヶ月時点でのIESRに高得点を示した者にはCAPSを行い、PTSDの発生率を調査した上、今後のケアにつなげていった。これらの結果を踏まえ、某小学校児童に対するケアの概要について考察を加えて報告した。
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