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総評 岩切昌宏(大阪教育大学) |
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学校危機に関しての緊急支援に関して、臨床心理士会を中心に様々な活動が行われているが、2003年に山口県では、精神保健福祉センターが中心となってCRT(クライシス・レスポンス・チーム)を発足させ、支援活動を続けている。その後、長崎県、静岡県でもCRTができ、活動を始めている。これら3県のCRTは、精神保健福祉センターが主導の官民協働の他職種チームになっており、活動期間を最大3日間に限定することで、確実性と信頼性を保っている。このようなCRT活動は、各地の精神保健福祉センターに広まりつつある。
このシンポジウムでは、まずアメリカでの学校危機介入組織について、元村が概説した。アメリカでは、危機時の介入や支援のための組織が様々あり、災害や犯罪の規模によって介入する組織が異なる。大きな災害や犯罪にはアメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁(FEMA)による介入が行われる。また犯罪被害者に対しては、全米犯罪被害者支援機構(NOVA)などのNPOが活発に活動している。このような外部の専門家チームが介入して、一時的に危機対応をするモデルと、学校内部の教職員が中心となって、地域のリソースも使いながら危機対応チームをつくるモデルがあり、それぞれ長所と短所があるという報告であった。
河野は、まず山口県の学校CRTについて説明した。CRTは、まず危機対応レベルを決定して、CRTスタッフの人員配置を調整する。支援内容としては、危機対応と心のケアであるが、それ以外に、人事面での管理や記録、食料などの調達を行う補助業務がある。光高校爆破事件では当初、CRTがマスコミ対応について助言指導を行っていた。また中長期対応のために、河野が中心となってスクールカウンセラーに引継ぎがなされていったことが報告された。
浦田は、CRTの補助業務(ロジスティック)の重要性について話をした。補助業務は、必要物品の調達や食料の補給、記録や文章の作成、またCRTメンバーの出動ローテーションや健康管理などであるが、これらによって、CRTの活動がスムーズにかつ有効に行うことができる。すなわちCRTメンバーが本来の業務に専念できるだけでなく、CRTが独立して業務を行えるようにすることで、学校側がCRTのために物品などの準備せずに済み、学校現場の負担を避けられることが報告された。
松本は、山口県、長崎県、静岡県のCRTについて、その成り立ちや特徴を比較して述べた。各県とも精神保健福祉センターが中心的な役割をしているが、山口県は、ボランティア主導体制で、支援者の意欲・熱意などの面でメリットがあり、長崎県、静岡県の行政主体体制では、支援体制を維持安定化させる面でのメリットがあるが、行政主体ゆえに,発足させるには困難を伴うことが報告された。
これらの報告は、今後の学校緊急支援に多くの示唆を与えるものであった。
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