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| 『犯罪被害者遺族の心理的支援』 |
座長:
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中島聡美(常磐大学コミュニティ振興学部)
木村弓子(武蔵野女子大心理臨床センター) |
| 【演 題】 |
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『犯罪被害者遺族の回復における自助グループの役割について』
大久保恵美子(被害者支援都民センター)ほか |
| ・ |
『遺族の個別心理ケアについて』
白井明美(武蔵野女子大学心理臨床センター)ほか |
| ・ |
『えひめ丸沈没事故におけるグリーフケア』
坂尾良美(愛媛県宇和島中央保健所)ほか |
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| ■ |
総評:常磐大学コミュニティ振興学部 中島聡美 |
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このシンポジウムは、今まであまり心理学・精神医学の分野で取り上げられることがなかった犯罪被害者遺族の心理的問題について支援という観点から包括的に取り上げたものである。犯罪被害者遺族の心理には、単に悲嘆反応に留まらない複雑なものが存在する。それは、犯罪という理不尽形で愛する家族を失ったという非常にトラウマティクな喪失であり、長引く悲嘆反応、抑うつ、PTSDなど様々な症状が複合して見られる。また、遺族は自分自身が被害者でないため、回復を自身の目標としてもつことに心理的な抵抗があり心理臨床や精神医療機関を訪れることが少ない。したがってその心理的な支援は、医療機関における個別の心理療法や集団療法のみならず、自助グループ、危機介入など様々な形と窓口で行われる必要がある。本シンポジストはすべて現場で実際に支援を行っている方々であり、日本ではまだ取り組みが始まったばかりの実践分野でもある。
白井明美氏は、武蔵野女子大学心理臨床センターにおいて、数多くの被害者遺族の心理療法に携わっている。このセンターでの遺族事例の分析と自助グループへのアンケート調査の結果から被害者遺族の精神的状態やその需要についての分析結果を報告した。その中で、犯罪被害者遺族が複雑な症状を抱えており、PTSDと悲嘆反応を区別していくことの必要性や、様々な支援機関とネットワークを組んで支援していくことの重要性が述べられた。
大久保恵美子氏は、民間の被害者支援団体であるセンターの事務局長であるとともに、ご自身も被害者遺族であり、日本での自助グループの草分け的存在である。実際にアメリカの遺族の自助グループを訪問した結果を元に、現在も遺族の自助グループを実践している。実際の様子をビデオで提示するとともに、自助グループのプログラムの紹介と、参加遺族の精神状態の改善についての報告があった。坂尾良美氏は宇和島中央保健所の保健師として「えひめ丸」の遺族のグリーフケアに早期からあった実践について報告した。ある特定地域における集団の被害であったことから、地域の保健所が中核として機能できたことや、ハワイへの付き添いを含めたアウトリーチ活動の実際などの新たな取り組みの有効性が示された。指定討論者の藤林武史氏からは、自身の遺族ケアの経験を踏まえて。遺族の個別ケアと自助グループなど両方のメリットを生かして組み合わせていくような総合的な対応が必要とのコメントがあった。
質疑の場面では、遺族と認定されないが親密な関係にあったような人のケアをどういった形で行なえるのか、また個別ケアによる回復についてより詳しい研究が望まれること、遺族の反応の性差の問題など様々な今後の研究として問題になるような点が出され、活発な討議が行なわれた。
今回のシンポジウムはまず、現在日本で行われている遺族への心理的支援を紹介するというものであったが、発表や討議を通して、遺族の精神的問題や支援の有効性などについてはまだ研究途上であり、わからないことが多いことが明らかにされた。今後は、遺族の心理についての理論や支援の方法論について研究が深まることが期待される。
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