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このシンポジウムでは、災害時の精神保健活動について4つの演題が発表された。最初の2つの演題は2004年10月に発生した中越地震に関連するものである。地震の直後から精神保健対策に関わってきた新潟県精神保健福祉センター長の福島氏より被災地での中長期的な精神保健活動について報告された。被災地市町村では、スクリーニングの実施によりハイリスク者を同定し、訪問指導や健康調査を行うなど二次予防活動のほか、被災者や援助者、一般住民を対象にした心の健康に関する研修会・講演会が開催されてきた。これらの活動には地域差があるが、こころのケアセンターが2005年8月に設立したことから、各市町村を支援しつつ精神保健活動が推進されていることが報告された。
国立精神・神経センター精神保健研究所の中島聡美氏らより中越地震の際に各地から支援に訪れたこころのケアチームのアンケート調査について報告された。こころのケアチームの活動は、避難所等診療拠点外の訪問活動が7割と中心的であることや、派遣期間については5日以上が望ましいことが示唆された。また派遣されたスタッフの精神健康は概ね良好ではあったが、13%に侵入的想起がみられるなど震災の影響がうかがわれた。派遣スタッフへのケアが乏しいことが今後の課題としてあげられた。
医療法人社団カレスアライアンス日鋼記念病院の菊池浩光氏からは、臨床心理士として関わった2000年3月の有珠山噴火の被災者支援活動の実践について報告がなされた。支援活動は、リラクセーション教室など、被災者が語れる場を作るなど精神的ケアを前面に出さない形で実践された。4ヶ月にわたる避難所への訪問から被災地への活動は周囲の関心が薄らぐ時期にも継続的に行われることの重要性が示された。
兵庫県こころのケアセンターの藤井氏らからは、平成16年10月の台風23号による兵庫県の6市町村の被災者へ被災後1年後のアンケート調査の結果が報告された。K6やIES-Rの結果から床上浸水以上の被害を受けた被災者の20%以上にうつ病や不安障害、外傷後ストレス障害が存在する可能性が示唆された。また、被災後医療機関の受診をしている被災者においてこれらの得点が高く、被災後1年後も長期に心身の健康問題を抱える被災者の存在が明らかになった。
これら4つの報告を受けて指定討論者の兵庫県こころのケアセンターの加藤氏より、今までは被災地のその場での需要にあわせて精神保健活動が展開されてきたが、今後は被災時の活動の有効性を評価していくことで、エビデンスに基づいた精神保健活動を行っていくことが重要であり、研究の推進が望まれることについて意見が述べられた。
今回のシンポジウムでは、災害精神保健活動の実践にとどまらず、その活動を振り返り評価する中で、実際に住民の精神的問題への介入/精神疾患の予防への有効な活動を検討していくという視点が強く示され、今後の災害精神保健研究を推進する上で重要なシンポジウムであったと思われる。
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