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| 第2回大会シンポジウム「複雑性PTSD」での発表要旨 |
| 『DV被害者であったPTSDの1症例〜入院治療の検討』 |
| 後藤晶子(国立肥前療養所) |
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演者は、DV被害者の入院治療について1症例を報告し、治療上重要と考えられたことを述べた。患者はDVを逃れて入院になった女性であった。
第1期には、不眠、フラッシュバック、スタッフに対する遠慮と被害的認知、他患への世話し過ぎ、攻撃的な言動が見られた。また、その時々で発言が違い一貫しない特徴も見られた。それらに対し、物理的な刺激と対人関係による刺激を減少させ安全を感じられることを目標とした介入を行った。個室を継続して提供し、看護スタッフが患者を理解して対応できるように、カンファレンスを繰り返し行った。患者の心理を解説し、対応を具体的に指示した。患者に対しては、他患やスタッフに対する批判や以前と違うことを述べた場合も、患者が自分の気持ちを表現してくれたこととして評価し感謝した。治療者の意見を述べると被害的に受けとられる可能性が高かったため、あえて内容に関するコメントは避けた。また、患者が自発的に行っていることを肯定的に評価した。臥床しているときは休めていると評価し、他患と活動に参加できたときは気分転換ができて良かったと伝えた。他患を介助することについてはその度ごとに行わないように簡単に伝えたが、注意されることが多いと被害感を強めることが予想されたため、他の症状に関しては介入せず経過を見た。次第に不眠やフラッシュバックは軽減し、主治医や受け持ち看護婦に対しては率直な気持ちを言えるようになった。
第2期には、第1期に指摘されていた他患への世話のし過ぎをとりあげた。演者との面接で、介助の後の疲れという問題を自覚でき、同じパターンの繰り返しを理解できた。「断りたい依頼を断る練習」を治療として提案し、記録をつけることとした。断れた場面は賞賛し、断れなかった場面は断り方を一緒に考えた。また、断ることに伴う罪悪感を取り上げ、相手への影響を過大に考えないよう援助した。断る行動は悪いことではないこと、自分が疲れ過ぎないために時には必要な行動であること、初めは罪悪感を感じても慣れてくると少なくなることも説明し、課題が続けて行えるように援助した。この結果、断ることを以前より負担なくできるようになってきた。
第3期には、退院の希望が固まり、アパート探しと退院を援助していった。希望条件を列挙してチェックし、アパート決定までの行動課題を列挙し、どこまで進んだかを本人に理解できるよう示しながら進めた。
このように、患者が治療関係の中で被害感を感じず安全感を得られるように配慮した治療を行った。環境統制(トラウマ関連記憶を活性化する物理的刺激と対人刺激の減少)と、患者の希望に添った適応的な認知行動レパートリーの形成が重要であった。その際、治療の意義や新たな認知行動レパートリーを患者が理解できるように提示し、患者の実践に対し肯定的なフィードバックを行うなど、被害感を与えずに治療を行う工夫が必要であった。
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