|
 |
 |
|
 |
| |
PTSDシンポジウム2002
報告から
『日常臨床の中でのPTSD』 |
| 座長:東京都精神医学総合研究所 飛鳥井望、兵庫教育大学 冨永良喜 |
| 【演 題】 |
| ・ |
『解離性同一性障害の臨床像とその病理について』
本田教一(松村総合病院コンサルテーションリエゾン科) |
| ・ |
『精神病院を受診した児童虐待歴のある患者について』
後藤晶子(国立肥前療養所) |
| ・ |
『総合病院一般病棟で心的外傷関連疾患を診る』
白川美也子(国立療養所天竜病院小児神経科・精神科)他 |
| ・ |
『性的虐待を受けたケースへの援助』
三輪健一(湖南病院) |
|
|
 |
|
 |
|
 |
| |
| |
 |
| ■ |
総評: 兵庫教育大学 冨永良喜 |
| |
 |
本シンポジウムでは、被虐待経験のある患者の治療と援助についての発表と討議がなされた。過去に性虐待を受け、解離性同一性障害を発症している患者へのアプローチが、本田氏と三輪氏によって報告された。安心感の回復の工夫、トラウマの行動化への対処、退行への対応、グループワークなどが紹介された。また、後藤氏は患者の児童虐待の経験の有無と疾患との関連を検討した調査研究を報告された。白川氏はパラメディカルスタッフへのトラウマやPTSDについての心理教育の有効性を報告された。トラウマにふれると、さまざまな問題行動が生起することをスタッフが事前に知ることで、落ち着いた治療的対応ができることが強調された。
フロアからは、奥山真紀子氏が入所生活の質をあげる工夫についての質問をされた。また、あまりに悲惨な過去をもつ場合、トラウマに直接アプローチするのではなく、よい体験を育成するための技法がEMDRでも開発されていることを市井雅哉氏が紹介された。
虐待は、他者への信頼はもちろん、自己への信頼をも破壊する。虐待を受けた人にとって必要な体験は、「主体性の回復と信頼感の育成」であろう。修正的アプローチと回復的アプローチは、Gilの提唱するポストトラウマティックプレイセラピィの中心的な概念である。しかし、日々の生活の中での「育成的・開発的」アプローチこそ、基本なのであろう。発表と討論を聞きながら、虐待を受けた子どもたちとの心理療法や、児童養護施設の子どもたちのキャンプでの実践が思い浮かんだ。虐待を受けた人の潜在的な力を呼び覚ますアプローチと、トラウマによる人間関係の取り方の歪みや損なわれた自尊感情を回復するアプローチのあり方を考えさせられたシンポジウムであった。
|
 |
|