『PTSDの治療薬処方の手引き』
表.文献報告から得られたPTSD治療における薬効のエビデンス

薬効分類 薬剤名
(日本使用の商品名)
1日量(mg)
(日本での
処方可能量)
エビデンス
のレベル
適応 副作用/禁忌
SSRI サートラリン 50-200 A
  • B,C,D症状の改善
  • 臨床上の全般的改善
  • うつ病、パニック障害、強迫性障害にも有効
  • 随伴症状(激怒、攻撃性、衝動性、自殺念慮)の軽減
  • 不眠と焦燥感を増悪させる可能性あり
  • 性機能障害を生じる可能性あり
フルオキセチン 20-80 A/B
パロキセチン
(パキシル)
10-40 A
フルボキサミン
(ルボックス、
デプロメール)
250-300
(50-150)
B
SARI トラゾドン
(レスリン、デジレル)
25-500
(25-200)
C
  • B,C,D症状を軽減させる可能性あり
  • トラゾドンはSSRIとの相乗作用、SSRI誘発性の不眠の改善
  • 副作用の少ない抗うつ薬として有用
  • 過鎮静の可能性あり
ネファゾドン 100-600 B
セロトニン作動薬 シプロヘプタジン
(ベリアクチン)
4-28
(4-12)
アレルギー用薬、抗ヒスタミン薬としての効能
F
  • フラッシュバックと悪夢を軽減
  • B,D症状の軽減
  • 鎮静
ブスピロン 30-60 F
抗アドレナリン作動薬 クロニジン
(カタプレス)
0.2-0.6
(0.075-0.9)
降圧薬としてのみ
C
  • B,D症状の軽減
  • 血圧低下ないし徐脈の可能性
  • 降圧薬服用中の患者では慎重投与
  • 抑うつ症状ないし精神運動緩慢を生じる
    可能性
グアンファシン
(エスタリック)
1-3
(0.5-1.5)
C
プロプラノロール
(インデラル)
40-160
(30-120)
不整脈用薬、降圧薬
C
MAOI フェネルジン 45-75 A/B
  • B症状の軽減
  • 臨床上の全般的改善
  • 抗うつ薬、抗パニック薬として有効
  • 患者は食事内容を厳守する必要あり
  • アルコール・薬物依存患者には禁忌
  • 不眠、血圧低下、抗コリン作用および肝毒性あり
モクロベマイド 300-600 B
  • B,C症状の軽減
  • 不眠、頭痛、めまい、疲労感、悪心、下痢の可能性あり
TCA イミプラミン(アナフラニール、クリテミン) 150-300
(25-300)
A
  • B症状の軽減
  • 全般的改善
  • 抗うつ薬、抗パニック薬として有効
  • 抗コリン作用
  • 心電図異常の可能性あり
  • 血圧低下、覚醒亢進/鎮静の可能性あり
アミトリプチリン
(トリプタノール)
150-300
(30-300)
A
デシプラミン 150-300
A
ベンゾジアゼピン系薬 アルプラゾラム(コンスタン、ソラナックス) 0.5-6
(0.5-2.4)
B
  • 軽減できるのはD症状のみ
  • 抗不安薬、抗パニック薬として有効
  • アルコール・薬物依存歴のある患者には避けるべき
  • 抑うつ症状を増悪させる可能性あり
  • 臨床上、重大な離脱症状の可能性あり
クロナゼパム(リボトリール、ランドセン) 1-6
(0.5-6)
C
気分安定薬 カルバマゼピン
(テグレトール)
600-1000
(20-1200)
B
  • B,D症状に有効
  • 双極性感情障害に有効
  • 過剰な警戒心、驚愕反応をも軽減
  • 神経学的症状、白血球・血小板減少、低ナトリウム血症を生じる可能性あり
バルプロ酸
(デパケン、バレリン、ハイセレニンなど)
750-1750
(400-1200)
B
  • C,D症状に有効
  • 双極性感情障害に有効
  • 過剰な警戒心、驚愕反応をも軽減
  • 胃腸障害、振戦の可能性あり
抗精神病薬 チオリダジン
(メレリル)
200-800
(30-400)
F
  • B,D症状に有効な可能性はあり
  • 抗精神病薬として有効
  • 非定型抗精神病薬でRCTが行われつつある。
  • 鎮静、血圧低下、抗コリン作用
  • 錐体外路系の副作用(特にチオリダジンで)
クロザピン 300-900 E
リスペリドン
(リスパダール)
4-12
(1-12)
E
オランザピン
(ジプレキサ)
5-20
(5-20)
E
クエチアピン
(セロクエル)

100-800
(50-600)
F

注1)B症状:侵入・再体験症状、C症状:回避・麻痺症状、D症状:過覚醒症状
注2)アメリカ健康ケア研究・政策局の定めるエビデンスのレベル

レベルA:対象患者について無作為化され、よく対照化された臨床試験を根拠とするエビデンス。
レベルB:よくデザインされた臨床研究だが、無作為化もしくはプラセーボ比較がないものを根拠とするエビデンス。
レベルC:治療手段としての使用根拠もしくは特別な推奨根拠に十分説得力があるような臨床観察をともなった臨床実践もしくは通常の臨床研究を根拠とするエビデンス。
レベルD:実証的試験が施行されていないが、長期間に広範にわたる臨床実践を根拠とするエビデンス。
レベルE:実証的試験が施行されておらず、限られた臨床家グループによる長期間の実践を根拠とするエビデンス。
レベルF:臨床的にも実証的にも試験が施行されていないが、最近発展してきた治療を根拠とするエビデンス。

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