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総評:松井 豊(筑波大学人間総合科学研究科)
福岡欣治(静岡文化芸術大学文化政策学部) |
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外傷的出来事に職業的に関わる人々のストレスケアや予防に関わる4種の研究成果や実践活動が発表された。
加藤友啓氏は東京消防庁におけるグループミーティング(デフュージング・デブリーフィン)の効果を測定した調査結果を発表した。東京消防庁職員(管理職を除く)を対象にした質問紙調査と面接調査の結果、惨事ストレスの緩和に小中隊長が行うデフュージング(1次ミーティング)が有効であることが実証された。また、デフュージングは、形式張らず、リラックスした雰囲気で雑談のように実施することがよいことも明らかになった。
畑中美穂氏は日本の消防職員に対する調査結果を再解析し、同僚との会話でストレスを発散した職員はしなかった職員に比べ、GHQで測定された精神的健康度が高いことを明らかにした。さらに、若い消防職員にとって同僚との会話が、IESRで測定された惨事ストレス反応の緩和に重要であった。
福岡欣治氏はジャーナリストの惨事ストレス対策に取り組んでいるダートセンター(Dart Center for journalist and trauma )を訪問し、関係者に行った面接調査の結果を報告した。同センターはWeb、資料、フェローシップ、賞による啓発と教育によって、各記者の所属組織における倫理的配慮と記者自身のストレス対策を促すことを意図していた。また、ダートセンターに関わる記者は惨事ストレスの緩和に対して、良い先輩記者や上司が組織において果たす役割を重視していた。
浅井真理子氏は、ガン患者の終末期ケアに関わる医師を対象にした全国調査の結果を報告し、バーンアウトのうち、個人的達成感減退の有病率が高いことを明らかにした。また、コミュニケーション訓練が不十分であると感じている医師は高いバーンアウトを示すことも明らかになった。最後に、医師と患者とのコミュニケーションに関わるスキルを習得するためのトレーニングの実践結果が報告された。同訓練では、医師に対してがん告知のロールプレイを行い、告知時のコミュニケーションのあり方を学習させている。
以上の4発表から、職務として外傷的出来事に接する人たちへのケアには、上司(隊長)や同僚との会話や、治療対象者とのコミュニケーションの取り方が重要であることが示唆された。言い換えれば、外傷的出来事に職業的に接する人々へのストレス対策としては、職務上で接する他者や同僚・上司との日常的なコミュニケーションの質を高めることが重要であると考えられる。今後は、質の高いコミュニケーションを促し育てるための支援のあり方や、訓練手法の開発や展開が期待される。
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