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【自然災害】『遺体が救援者に引き起こす気持ちの変化:救援組織の幹部職員向けパンフレット』

遺体を扱った救援者が受ける影響

災害現場における幹部職においては、部下の安全と身体的健康が最重要なのは言うまでもありませんが、心の健康を維持することも同じ位に重要と報告されています。心の健康があってこそ、効率の良い、まとまりがある業務が遂行できるからです。
特に、遺体に接する業務のストレスは多大です。このストレスは、決してその人が弱いから生じるのではありません、程度の差こそあるものの、誰もが例外なく感じる、あくまでも正常な反応です。そのため、遺体処理業務が心に与える影響を考えた上で、それをなるべく軽減することが重要です。

組織としての対処法

過去の報告をまとめますと、以下の点が、遺体処理業務において役に立つと言われています。皆様の業務遂行にあたって、多少なりとも参考となれば幸いです。

【部下の配置】

業務によって部下(専門家、ボランティア問わず)に過度の負担がかからないか、配置直後に試行期間を設けること。
部下を一人で働かせず、同僚とチームを組むこと。
部下に話してもらうよう促すこと。
(他人との会話は心の健康を保つ第一歩です。)
業務のストレスを乗り越えるために取る方法は人によって異なるので、その方法を他人に押し付けないことが大切。
同じような業務上の刺激を長時間受けさせないため、部下の業務内容を適宜ローテートすること。
部下に大きな負担がかかっていても、休ませることは多くの場合困難で、かえって、その人のプライドを傷つきかねない。その場合は、ほかの業務に配置転換するなどの工夫が有効。

【環境作り】

休憩時間中をしっかりと設け、心身ともに休んでもらうこと。
(業務に必要以上に打ち込むと、かえって悪影響が後々出ることが知られています。)
食べ物・飲み物を用意した休憩所を設けること。
清潔を保つための環境をつくること。
着替えの準備。

【遺体への接し方】

遺体に接する時間をなるべく減らすこと。
特定の犠牲者や遺留品に、部下が必要以上に思い入れ込まないように注意すること。
(犠牲者が子供だったり、救援者自身や家族の誰かを連想させる場合、心への負担はさらに強くなります。)

重村 淳(防衛医科大学校 精神科学講座 /
Uniformed Services University of the Health Sciences 精神科)
※この文章は、”Body Recovery & Stress Management for Leaders & Supervisors” (Uniformed Services University School of Medicine, Center for the Study of Traumatic Stress作)をもとに作成したものです。(http://www.usuhs.mil/centerforthestudyoftraumaticstress)