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【被害者支援】5:行政の犯罪被害者支援窓口等での専門職の活用について

犯罪被害者支援における保健福祉医療領域の専門職の活用をめぐっては、精神的回復の関与に焦点が当てられ、PTSD対策にかかる専門家の養成研修会をはじめとして、犯罪被害者等への適切な対応に資する医学教育の促進や、犯罪被害者に対するカウンセリングの充実、各都道府県警察に臨床心理士資格等を有する部内カウンセラーの活用など、犯罪被害者等基本計画により多面的に施策が推進されてきた。

また、現在、犯罪被害者支援を地域で推進させていくべく、地方公共団体(市区町村)に犯罪被害者のための総合的対応窓口が設置(現在約98%の市区町村に窓口が設置)され、その中で専門職の活用が進みつつある。根拠としては、平成28年4月に策定された第3次犯罪被害者等基本計画(平成28年~32年(5か年計画))によって、地方公共団体に対し、犯罪被害者等の生活支援を効果的に行うため、犯罪被害者支援分野における社会福祉士、精神保健福祉士及び臨床心理士等の専門職の活用を働き掛けることにもなったことによる。地方公共団体が独自に条例を制定し、専門職採用・活用をして支援を行っていく動きも強まっている。2018年度には全都道府県に設置予定の性犯罪被害者のためのワンストップ支援センターにおいても、臨床心理士等による支援の促進が謳われており、今後は更なる連携と専門職の活用が望まれている。基本計画の中で、犯罪被害者等が、早期に地域の医療機関や地域相談機関等の専門職につながるよう、地方公共団体における総合的対応窓口と関係機関・団体との更なる連携・協力の充実・強化を図っていくことにもなっている。

犯罪被害者等が利用できる支援制度・サービスをめぐっては、犯罪被害者等基本法が平成16年12月に成立して以来、大幅に拡充している。警察が管轄の、カウンセリング費用公費負担制度や被害現場のハウスクリーニングの公費負担をはじめとして、地方公共団体等の緊急一時避難場所の提供から、ホームヘルプの支援、見舞金や遺児のための奨学金など、被害者の心身や生活のサポート体制が整ってきている。PTSD治療と併せて様々な制度・サービスを利用できるよう、行政の内外と問わず、保健福祉医療領域の専門職が横の連携をもちながら被害者を支えていくことが求められる。

 

参考資料:
犯罪被害者等基本計画
警察庁犯罪被害者等施策HP http://www.npa.go.jp/hanzaihigai/

参考文献:
1)大岡由佳・大塚淳子・岸川洋紀・中島聡美(2016)犯罪被害者等の実態から見えてくる暮らしの支援の必要性.厚生の指標.第63巻11号,23-31.
2)被害者が創る条例研究会(2017)すべてのまちに被害者条例を.2017年7月10日.

 

 

JSTSS被害者支援委員会
武庫川女子大学心理・社会福祉学科
大岡由佳