PTSD治療ガイドライン第二版発刊のお知らせ

公開日 2013年05月28日

日本トラウマティック・ストレス学会が加盟している 国際トラウマティック・ストレス学会(ISTSS)で編纂されたPTSD治療 ガイドライン新版の訳が完成し、以下の通り、発刊となりました。

PTSD治療ガイドライン第二版

PTSD治療ガイドライン[第2版]

エドナ・B・フォア, テレンス・M・キーン, マシュー・J・フリードマン, ジュディス・A・コーエン編
飛鳥井望監訳

国際トラウマティック・ストレス学会公認 日本トラウマティック・ストレス学会推薦

金剛出版 552頁 定価: (7,400円+税)
http://kongoshuppan.co.jp/dm/dm.php?cd=1312

初版で好評を博したPTSD治療ガイドライン待望の新版。
国際トラウマティック・ストレス学会の特別作業班が中心となって作成し、 PTSDと診断された患者に対して提供し得る、エキスパートが考えるところの 最良の治療法を提示する。
原書の分担執筆者の総数は71人に上る。
全体は二つの部分から構成され、前半は各治療ごとの理論や技法の説明と 文献レビューを含むポジションペーパー、後半はそれを要約した治療ガイド ラインとなっている。
子どものトラウマ治療に関して大幅な記述が 追加された。

日本語版への序文

本書“Effective Treatments for PTSD: Practice Guidelines from The  International Society for Traumatic Stress Studies”の第2版が初版と 明らかに異なるのは二つの点からである。
第一には、初版が出版された2000年 には研究されていなかった新たな領域を反映して、いくつかの新たな章が盛り 込まれたことである。
第二には、より多くの臨床試験が行われてきたことで、 臨床的エビデンスの強度と深みが顕著に増したことである。
初版と第2版でもっとも目につく違いは、児童青年期に関する研究の章の追加 である。実際のところ新たな章で主に扱われたのは児童青年期であり、その 評価、急性期介入、認知行動療法、薬物療法、学校べースの介入、力動的 精神療法、創造芸術療法などである。
これらの章は量的にも多くかつ重要な 追加であるため、新版では4人目の編者としてJudith Cohenに加わってもらった。
エビデンスに関していえば、ランダム化比較試験の数がかなり増えており、 ことに増えたのは心理的デブリーフィング、早期介入、認知行動療法(成人と 子ども)、薬物療法、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)、学校ベース の介入などの領域である。
これらの領域のエビデンスがさらに蓄積されると 同時に、将来的には、集団療法、夫婦・家族療法、早期介入(トラウマ後の 急性反応ならびに急性ストレス障害)、PTSDと合併障害の治療、さらには若年 や老年のPTSDにおける発達段階に相応しい治療などに関するさらに多くの研究 が期待されるところである。
PTSD単独の場合 にせよ、他の障害を合併した場合 にせよ、これまでの多くの研究は単一の治療法を対象としたものであるため、 将来的には併用治療に関するさらに多くの研究も必要とされる。
現在のエビデンスにはまだ多くのギャップがあり、治療の選択は常に個々の 特定の患者が示す臨床的状況(合併障害の存在や患者の好みも含めて)に よらなければならない。
そのことを理解した上で、臨床家には、効果に関して もっとも強力な科学的エビデンスのある治療を優先することを勧める。
編者一同、本ガイドラインがその点で有用なものとなることを期待している。

編者を代表して Matthew J. Friedman MD, PhD Executive Director National Center for Posttraumatic Stress Disorder

Edna B. Foa PhD Terence M. Keane PhD Judith A. Cohen MD

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