公開日 2016年11月25日
犯罪被害者支援の分野では,平成17年に犯罪被害者等基本法が施行され,1つの転換期を迎えました。
基本法に基づき策定された第2次犯罪被害者等基本計画(平成23年3月25日閣議決定)には,今後講じていく施策の1つとして「カウンセリング等心理療法の費用の公費負担についての検討」が盛り込まれました。この施策を実施するために開催された検討会の提言を受け,警察庁は,精神医学・臨床心理学・被害者学等の有識者から成る「犯罪被害者の精神的被害の回復に資する施策に関する研究会」(座長=中島聡美先生 現:福島県立医科大学)を開催しました。平成26年3月から平成27年3月にかけて5回にわたる検討が行われ,平成27年4月には研究会が報告書を取りまとめました。
報告書の中では,警察が運用している外部の精神科医・臨床心理士等に対するカウンセリング業務委嘱制度は,カウンセリングの実施者が特定の地域や精神科医等に集中しやすく犯罪被害者等にとって利用しにくい面があると指摘されたことに対し,一部の都県警察で運用されている「カウンセリング費用の公費負担制度」は犯罪被害者等にとって利用しやすいものであり,国(警察庁)の財政的支援・関与の下でこれを全国展開していくことが望ましいなどの提言がなされたのです。
その提言を踏まえ,警察庁では,平成28年度予算において,犯罪被害者等のカウンセリング費用の公費負担制度に要する経費を都道府県警察費補助金により措置しました。そして,平成28年4月には全国警察に当制度に係る通達を発出し,現在,制度の全国展開を図っています。
※「カウンセリング費用の公費負担制度」とは,一定の犯罪被害を警察に申告した犯罪被害者等に対し,公費支出の必要性が認められる場合に,犯罪被害者等が自ら選んだ精神科医・臨床心理士等によるカウンセリング費用のうち一定額を限度に支出する制度のことを言います。
JSTSS 被害者支援委員会
警察庁 長官官房 給与厚生課 犯罪被害者支援室
上田 鼓