公開日 2022年06月13日
第21回日本トラウマティック・ストレス学会
学会本部企画「戦災とトラウマ」のご案内
2022年7月23日(土曜),24日(日曜)に第21回日本トラウマティック・ストレス学会が八王子市で開催されます(https://jstss21.com/)。2日間にわたり魅力ある企画が準備されております。既に申し込みをされている会員の方も多いかと思います。
大会企画が進んだ段階でウクライナ侵攻が起きたことを受け,大会2日目の午後にJSTSSの学会本部企画「戦災とトラウマ」を開催することとなりました。海外からの演者に来日して頂くことはかないませんでしたが,ウクライナと同じくロシアと国境に接する国ジョージアのイリア国立大学教授 Jana D. Javakhishvili 先生に学会長招聘特別講演「戦災者のメンタルヘルス支援ニーズに対応する:ジョージアとウクライナでの経験から」をお願いすることができました。当日は事前録画した内容に日本語字幕をつけて映写し,その後第2部ではJavakhishvili 先生と八王子会場をオンラインでつなぎ,指定討論を含めたライブディスカッションを行う予定です。国際交流委員会はこの企画の当日運営に協力します。
Javakhishvili 先生の略歴をご紹介します。
Jana D. Javakhishvili ジャナ・ジャヴァキシュヴィリ
ジョージア,トビリシのイリア国立大学の心理学教授,アディクション研究所所長。2006年より,精神医学に関するグローバル・イニシアティブ連盟(GIP-Tbilisi)のシニアメンタルヘルス・コンサルタントとしても勤務している。軍事紛争や(強制)移住,自然災害,テロ攻撃の結果,トラウマを受けた個人,家族,地域社会を対象にしているが,対象者にはジョージアの国内避難民,チェチェンからの難民,ベスランの悲劇のサバイバー(訳者注:2004年9月ロシア北オセチア地方ベスラン市の中学校が武装派により占領され多数の犠牲者が出た事件),ウクライナの戦争被害者,ベラルーシでの政治的抑圧のサバイバーなどが含まれる。
研究分野は戦争や政治的抑圧の影響を受けた人々のメンタルヘルスに関するもので,博士論文のテーマは「全体主義体制の抑圧によるトラウマとその世代間伝達」であった。共著としてハンドブック「メディア,人権,メンタルヘルス」(著者),「トラウマの特質と癒しへの道」(共著者)(いずれもジョージア語)がある。最近の論文として「ヨーロッパにおけるCOVID-19パンデミックへの対応:ヨーロッパ心的外傷ストレス学会からの5つの教訓」(EJPT(訳者注:ESTSS機関誌)に掲載),「ウクライナへの侵攻:リーダー・フォロワー関係の観察」(ヴァミック・ヴォルカンとの共著,The American Journal of Psychoanalysisに受理)がある。彼女は2019-2020年に欧州トラウマティック・ストレス学会(ESTSS)の会長を務めた。2021年からはDart Centre for Journalism and Trauma Europe(DCE)の理事会メンバーを務める。現在European Journal of Psychotraumatology (EJPT)の編集委員を務めている。
本企画は,ロシア近隣国でトラウマケアに従事している専門家の「生の声」を聴く貴重な機会となるのではないかと考えております。
第21回大会への参加登録をお待ちしております。